和歌山電鉄2270系電車

元は山を登っていたのだが・・・。 

2270系

いちご・おもちゃ・たま電車へ改造された車両以外は南海時代と大きく姿を変えていない。(岡崎前〜吉礼 撮影:ムーチョ)

●基本データ
・最高速度・・・・80km/h
・運用線区・・貴志川線

2270系は1969年に南海22000系として登場した電車。22000系時代は主に難波から高野山への直通列車に使用されていた。(→詳しくは南海2200系の項を参照)

1998年、老朽化した1201系を置き換えるため、貴志方先頭車の電装解除、前面の非貫通化、前扉の運転台直後への移設と片開き化、複電圧対応改造(従来の1500Vに加え600Vに対応)を行い2連6本が高野線から当時の南海貴志川線に転属した。

貴志川線の架線電圧はDC600Vであるが、万が一の場合南海本線や高野線を自走できるようにするため、従来の1500V機器を撤去せず複電圧車とした。

2006年に経営難を理由に貴志川線が南海電鉄から新たに創設された和歌山電鉄へ経営移管されるとともに全車が南海から和歌山電鉄へ無償譲渡された。基本的に側面の南海の社章や「NANKAI」ロゴの撤去が行われた程度で、大きな外観の変化はない。

2270系いちご電車

いちご電車となった2271F。2270系リニューアル車両第一弾として話題を呼んだ。(貴志駅 撮影:ムーチョ)

・いちご電車
2006年の貴志川線の和歌山電鉄への移管のあと、すぐさま2271Fが更新工事に着手、JR九州の車両や岡山の路面電車のデザインで有名な水戸岡鋭治氏によるデザインで「いちご電車」へとリニューアルされた。

この「いちご電車」は、シートモケットをいちご柄に、床や内壁に木材を多用するなどこれまでにないスタイルで沿線の名産であるいちごをPR、専用のヘッドマークも用意され、塗装も白をベースにいちごの柄が入り、クーラーキセも赤く塗装されるなど、かなり手が込んでいる。

運用開始早々から話題となり、全国から鉄道ファンが押し寄せ、貴志川線再生の第一歩となった。

2270系おもちゃ電車

おもちゃ電車となった2276F。今度は真っ赤に塗装され、車内には遊び心に満ちた設備がある。(伊太祁曽車庫 撮影:ムーチョ)

・おもちゃ電車
2006年に登場した「いちご電車」の成功を受け、再び水戸岡デザインによって2007年に「おもちゃ電車」が登場した。

車内には子供向けのものから親世代が懐かしむことのできるような古いものまで、様々なおもちゃが展示されたほか、カプセルトイ(俗に「ガチャガチャ」と呼ばれるもの)を設置・販売している。子供を呼び込むためとあって、内壁は濃黄色を使用したゴテゴテしたものになった。

座席は通常のロングシートが少なくなり、木を使用したベンチに座布団を置いたようなシートが多数を占めている。

いちご電車に続いて話題を呼び、さらなる集客に成功・・・はしたのだが、いくらなんでも車内に余計なものを置きすぎたため詰め込みが効かなくなり、ラッシュ時にはハズレ車両筆頭になっている。

2270系たま電車

たま電車となった2275F。編成全体で実に101匹のたまが描かれている。(岡崎前〜吉礼 撮影:ムーチョ)

・たま電車
いちご電車・たま電車の成功に続き、更なる集客の目玉を探していた和歌山電鉄は、終点の貴志駅の駅長に猫のたまを抜擢した。この猫、元々は貴志駅前のタバコ店で飼われていた猫であった。

たまの集客力はすばらしく、鉄道ファンはもちろん一般の観光客も多数が貴志駅を訪れ、貴志駅の乗降客数は17%増加、また運賃収入は40%増となった。これにあやかり、2275Fを「たま電車」に改造することとなった。

外観は、いちご電車と同じく白基調の塗装となり、車両全体に実に101匹のたまが描かれている。車内には「たま文庫」として自由に読める動物の本が置かれているほか、いたるところにたま駅長を意識した物品が置かれている。極めつけは、たま駅長の出張時のためのゲージであろうか。

2010年には猫つながりでドラえもんが和歌山電鉄を訪問、それ以降はこの2275Fに限って車内放送をドラえもんの声を演じる水田わさびが担当している。


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