南海2200・2230系電車

不運すぎるズームカー…だが、一躍高野線の顔に 

2230系

支線用に改造された2230系。2009年に2200系から2230系に編入された。(羽衣〜伽羅橋 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度…100km/h
・運用線区・・・・・・高野線(汐見橋〜岸里玉出・橋本〜極楽橋)・高師浜線・多奈川線・加太線

2200系は1993年に登場した通勤型電車。詳細は後述するが、22000系として1969年にデビューした車両を改造して生まれたのがこの2230系だ。

まずは、22000系時代のお話から…。

22000系は、なんば〜極楽橋を急行として直通していた21000系の増結用として1969年に登場した。当時、21m車が入線できるのは河内長野までであり、極楽橋まで行く急行は河内長野で増解結を行っていた。その増結用として登場したのがこの22000系で、増結用であるため全て2連で製造されている。

極楽橋まで乗り入れ可能な車両でありながら、製造当初はなんば〜河内長野のみでの運用であった。その後増備がすすんで、2+2などを組んで極楽橋まで行く運用も登場するが、ここではあまり重要な話ではない。

時は流れて1990年、21000系の後継となる2000系が登場し、21000系は廃車となった。一方、まだ製造から20年程度しか経過していなかった22000系は、(1)更新工事を実施したうえで引き続き高野線で使用する・(2)更新工事を実施して支線区へ転用する という2つの処置を行うことを決定する。

このとき、支線区転用となった車両は、車体更新を受けたほか、床面高さが若干下げられ、貫通幌枠が撤去されて2230系と改番され、予定通り支線区へ転用された。

高野線で継続使用となった車両は、車体更新を受けて2200系と改番され、2000系とも併結して、引き続き高野線の急行で使用される。

しかし、いざ走らせてみると、2200系は平坦線区間での高速性能が2000系より明らかに劣っていて、2000系の足を引っ張り、さらに急行の金剛追加停車で混雑が激化、遅延が常態化する事態となり、2200系も全て2000系で置き換えることと決定される。

2200系も置き換えられることとなり、新たに3本が支線区転用、6本が貴志川線(現:わかやま電鉄貴志川線)転用、1本が熊本電鉄に譲渡、残りは廃車となり、2230系に合わせる改造(床面下げ、貫通幌枠撤去など)は行われることなく各所に転用された。

 

転機は2008年に訪れる。

2200系のうち、2203Fが高野線の橋本〜極楽橋で運転される観光列車「天空」の種車に抜擢され、大規模すぎる改造を受けたのち、2208Fに改番されて高野線に復帰、2009年に「天空」は晴れて高野線で再デビューとなる。

改造後、デビューまでの試運転や展示会、プレ運行の臨時列車では製造後初めて2300系と連結、本格的に運転が始まると併結相手を2000系に変えて、橋本〜極楽橋で運転されている。

一方、支線区に残った2200系は2009年、2203Fの天空への改造終了と時を同じくして2230系に編入された。この際、車両の仕様を2230系に合わせる改造は行われておらず、本当に番号を変えただけだ。

2200系「天空」

「天空」に改造された2200系。この編成が2200系として唯一残る編成だ。(百舌鳥八幡駅 撮影:ムーチョ)


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