大阪市交新20系電車

50系・30系に続く第3軌条全線共通車 

新20系(21系)

御堂筋線用の車両は他線より加速度が高く設定されている。ラッピングが施されているのは女性専用車両。(桃山台駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度・・・・・・70km/h(24系のみ95km/h)
・運用線区・・・・・・御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線・北大阪急行南北線・近鉄けいはんな線
・元運用線区・・・・大阪港トランスポートシステムテクノポート線

●共通事項

新20系は老朽化が進んでいた50系・30系に代わる標準車両として1990年に製造された。谷町線・中央線で運用されていた20系をベースにしているが、車体がアルミからステンレスになったり、インバーター装置も変わったりと変更点は多く、実質的に別形式だ。

投入線区により形式の1の位にその路線の番号がつけられる形で細分化されている。

●21系(御堂筋線用)

21系は御堂筋線に残存していた30系の代替車両として1991年に製造された。10連18本が在籍し、初期の13本が9連・後期の5本が10連で製造されている。(後に全編成が10連化)

他線の新20系の起動加速度が2.5km/h/sであるのに対し、この21系は運転密度の高い線区を走行するため、3.0km/h/sとされた。

1996年に製造された16編成より車内にLEDによる車内案内装置とドアチャイムを設置、後に全編成に設置されたが、96年に製造された16・17編成は全ドア上に設置されたのに対し、その後製造された18編成と、後付けで改造が行われた15編成以前の車両は千鳥配置となっている。

6号車は女性専用車両となっており、この車両にはラッピングが施されている。女性専用車両のアピールと広告収入の増加を兼ねたなかなかの方策だと思うのだが、編成美が崩れてしまうのが難点・・・などとは一般の乗客は考えないからいいか・・・。

新20系(22系)

谷町線用の22系。写真の50番台は24系から編入された車両。(谷町6丁目駅 撮影:ムーチョ)

●22系(谷町線用)

22系は1994年に谷町線用に製造された車両。6連19本が投入された。初期の7本は前面車番の文字が大きい。2004年からLEDによる車内案内装置とドアチャイムの設置工事が行われた。

転機は2004年に訪れる。2006年の近鉄けいはんな線開業に備えて、大阪市と近鉄の間で乗り入れ車両に関する交渉が行われたのだが、この時に大阪市はあくどい手法に出るのだが、その模様を噛み砕いて書いてみることにしよう。(予備知識:谷町線には当時、20系(アルミ車体のほう)が在籍していた)

近鉄 「せっかく新線できるんだし、最高速度を95km/hに上げたいんだよ。そこでお宅の20系は足が遅いから足回りを更新したいんだ。こっちで金出すから20系更新してくれない?」

大阪市「20系も更新時期を迎えてるし、そっちが金出してくれるんだったらいいよ」

近鉄 「よし、決まりだ。」

大阪市「20系の更新費用、全部出してくれるんだよね?」

近鉄 「そうだよ」

大阪市「じゃあ、谷町線の20系を全部中央線に転属させるから、まとめて更新工事してね♪」

近鉄 「えっ」

こうして近鉄は、当初予定していた中央線の20系に加え、谷町線の20系の更新費用まで担がされることになる。そして谷町線の20系が中央線に行った代わりに、比較的新しかった24系がまとめて谷町線に転属して22系に編入されて50番台となった。

また、大阪港トランスポートシステム(以下OTS)に在籍していたOTS系(名前が違うだけで事実上の24系)も2005年のOTSによる鉄道事業の大阪市交通局への譲渡に伴い24系に編入された後、例に漏れず谷町線に転属し、22系50番台となった。

新20系(23系)

四つ橋線の23系。車内案内装置の設置などの更新工事の施工はやや遅れ気味だ。(緑木検車場(イベント時に撮影) 撮影:ムーチョ)

●23系(四つ橋線用)

23系は四つ橋線の30系の代替車両として、1990年から5連18本・6連4本が投入された車両。(後に全編成6連化)四つ橋線は全てこの23系で統一されている。

住之江競艇場でレースが開催されると隣接する住之江公園駅は大混雑するため、この23系に限り1号車・2号車のドアの4/2閉機能(片側4箇所のドアのうち2箇所のみを開閉する)が装備されている。また、営業運転区間は全区間地下線のため、ブラインドは設置されていない。

2006年からLEDによる車内案内装置の設置工事が行われ、今後全車に波及する予定だ。

新20系(24系)

中央線用の24系。24系として中央線に残るのは4本のみだ。(九条駅 撮影:ムーチョ)

●24系(中央線用)

24系は1991年から6連11本が製造された車両。OTSが鉄道事業を大阪市交通局に譲渡するまではOTS・近鉄との3社直通を行っていた。現在はOTSの鉄道事業譲渡もあったが、山を越えて学研奈良登美ヶ丘まで入線する。

22系の解説で述べた通り、OTSからの編入車からを含めてほとんどが谷町線に転属して22系となり、24系として  中央線に残存しているのは1〜4編成の4本のみである。

大阪市も諦めたか(谷町線の20系の本数が24系より4本少なかっただけだが)、この24系には近鉄線内でのワンマン運転対応工事や起動加速度向上(地下鉄線内は2.5km/h/s、近鉄線内は3.0km/h/s)やドアチャイム、LEDによる車内案内装置の設置といった更新工事が実施されている。

新20系(25系)

千日前線用の24系。この25607Fを皮切りにホームドア設置に備えた更新工事が開始された。(谷町9丁目駅 撮影:ムーチョ)

新20系(25系) ホームドア対応改造車

千日前線用の25系更新車。制御装置の変更のほか、各車端部には30000系と同じ号車番号スリットが入り、ホームドア設置後もラインカラーを容易に判別できるよう車体上部にもラインカラーが追加されている。(新深江駅 撮影:ムーチョ)

●25系(千日前線用)

25系は1991年から4連17本が投入された車両。千日前線は全てこの25系で統一されている。

千日前線は閑散線区のため他線のお下がりばかりやってくるいわゆる「姥捨て山」になっていたこともあり、30系どころか50系さえ残存していた。そのため、千日前線開業以来初めてとなる新車投入は大歓迎された。

ただやはり改造工事となると後手に回るもので、車内案内装置の設置は2008年までずれ込み、現時点でも全編成に波及・・・どころかLEDのある編成に当たる事の方が珍しい。

ただ、閑散線区ということで長堀鶴見緑地線に続いてホームドアの設置が計画されており、6編成を皮切りにホームドア対応工事が実施されている。更新車は制御装置がIGBT-VVVFになったほか、側面車端部には30000系と同様に号車番号のスリットが入り、車体上部にも帯が貼られるようになった。


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