大阪市交20系電車

日本でも記録的早さのインバーター制御採用車だったのだが・・・ 

20系

20系。原型の制御器を装備する編成は存在しない。(九条駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度・・・・・・95km/h
・運用線区・・・・・・中央線・近鉄けいはんな線
・元運用線区・・・・谷町線

中央線の長田延伸を目前に控えた1984年、老朽化の目立つ50系置き換えのために中央線に投入されたのがこの20系だ。10系をベースにしたアルミ製の車体に2段上昇窓、前面デザインも10系をベースにしている。

日本で2番目となるインバーター制御採用車である(ちなみに1番は熊本市電の8200形という路面電車だ)。電車の制御方式はそれまで、従来の技術にどんどん毛を生やし続けて進化してきたのだが、このインバーター制御というものは従来の制御方式を根本から覆すものであった(そのため保守的であった国鉄は導入を嫌がり、ついに10連1本のみの製造で分割民営化を迎えた)。

その特殊さゆえに開発は難航し、開発に本気を出した物好きな鉄道会社は近鉄・東急・大阪市交通局・熊本市交通局の4社局のみ、またメーカー側も会社の垣根を越えて開発に取り組み、この20系に搭載されたインバーターは三菱・東芝・日立の3社合作によるGTO-VVVF制御装置だった。

中央線への投入に並行して谷町線にも投入され、こちらは30番台と区分された。

 

転機は2004年に訪れる。2006年の近鉄けいはんな線開業に備えて、大阪市と近鉄の間で乗り入れ車両に関する交渉が行われたのだが、この時に大阪市はあくどい手法に出るのだが、その模様を噛み砕いて書いてみることにしよう。

近鉄 「せっかく新線できるんだし、最高速度を95km/hに上げたいんだよ。そこでお宅の20系は足が遅いから足回りを更新したいんだ。こっちで金出すから20系更新してくれない?」

大阪市「20系も更新時期を迎えてるし、そっちが金出してくれるんだったらいいよ」

近鉄 「よし、決まりだ。」

大阪市「20系の更新費用、全部出してくれるんだよね?」

近鉄 「そうだよ」

大阪市「じゃあ、谷町線の20系を全部中央線に転属させるから、まとめて更新工事してね♪」

近鉄 「えっ」

こうして大阪市交は、谷町線の20系30番台を全車中央線に転属させて、それらの更新費用を全て近鉄に担がせ、代わりに状態のよい中央線の24系を谷町線に転属させるというあくどい手法に出た。正直どうかと思う。

こうして20系は0番台・30番台ともに中央線に集結し、近鉄の金でIGBT-VVVF制御に換装され、最高速度も95km/hに向上、LEDによる車内案内装置とドアチャイムの設置、近鉄線内でのワンマン運転に対応する工事も実施された。

現在では0番台・30番台ともに分け隔てなく全車が中央線・近鉄けいはんな線にて運用されている。

20系30番台

元谷町線の20系30番台。番号が違うだけで、0番台との差異はまったくない。(九条駅 撮影:ムーチョ)


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