南海2300系電車

高野山世界遺産登録とともに華々しくデビューするも…早すぎた隠遁生活 

2300系

製造からわずか5年で橋本以南に閉じ込められてしまった2300系。(九度山〜高野下 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度…100km/h
・運用線区・・・・・・高野線

6000系は2005年に登場した通勤型電車で、2連4本が在籍する。

高野線の橋本〜極楽橋は急勾配・急曲線のため、入線できる車両が限定されるが、この山岳区間(通称:山線)には、1990年に2000系が製造、運用されていた。

しかし、山線区間の乗客減少に伴い、2連でワンマン運転が可能な2300系の製造が決定、さらに高野山の世界遺産登録も決まったこともあり、南海一般車としては21000系以来となる転換クロスシートを採用したこの車両が登場した。

2連で制御器・補助電源装置を含めた運行に必要な機器を2セット搭載して故障時も自力走行不能にならないようにするなど、通常の粘着鉄道としては箱根登山鉄道に続く急勾配をもつ特殊な区間に対応。一方、コンプレッサーはこの車両の製造の2年前に廃車になった7100系1次車の廃車発生品を流用するなど、できるところでのコストカットは忘れない。

21000・22000系までの緑、2000系の南海一般塗装に対して、2300系はステンレス無塗装に赤いステッカーとなり、4編成それぞれに「さくら・しゃくなげ・コスモス・はなみずき」の愛称がつけられた。

 

50000系以来となる盛大な広告とともに、2000系とともになんば〜極楽橋の急行・快速急行の運用にデビュー。2000系の極楽橋方に連結され、橋本で2000系を切り離し、山線区間に2連で入ってワンマン運転を行っていた。登場時のこの電車の人気にはものすごいものがあり、駅には2300系の運転時刻が掲示され、検査で運用離脱するとお詫び文まで出るほどの人気だったのだが…

デビューからわずか半年の2005年10月にダイヤ改正が行われ、なんば〜極楽橋を直通する運用が激減。それでもまだなんば直通はそれなりの数が確保されていたのだが、2007年時点ではなんば直通はついに平日昼前の1往復にまで減少、2008年のダイヤ改正でなんば〜極楽橋の急行・快速急行の運用は2000系に統一され、2300系は橋本以南でのワンマン運用限定となって、ついになんばには顔を出さなくなってしまった。

製造からわずか5年で地味な区間の地味な運用に限定されてしまうというのは、それが本来の目的だったとはいえ、 内装グレードの高さもあってかなりもったいないように感じる。

現在では定期運用でなんばに顔を出すことは全くなく、2009年の「天空」デビューの際に展示会や臨時列車として天空に併結して久々に橋本以北に乗り入れたがそれを除くと千代田工場への入出場や試運転以外では橋本以北へ行くことはない。


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