南海1000系電車

初めての本線・高野線共通車両 

1000系

6連・2連ともに初期の3編成は裾絞りの小さい狭幅車。高野線の1000系は狭幅車のみ。(天下茶屋駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度 120km/h
・運用線区・・・・・・南海線・空港線・和歌山港線・高野線(なんば〜橋本)・泉北高速線
・元運用線区・・・・多奈川線

★0番台
1000系は1992年に登場した通勤型電車。

初めての南海線・高野線での共通使用を前提とした汎用車両で、実際両線間での転属は幾度となく行われ、事故や検査、改造などで車両数が足りなくなった時など、穴埋めとして短期間で転属を繰り返すこともある。

日立製のGTO-VVVF制御を採用。6連と2連が在籍し、6連は0番台、2連は30番台を名乗っている。

汎用車らしく、後に登場することになる8000系と互換性があり、混結編成を組むことも多々ある。ちなみに、先に登場していた9000系とも互換性があり、協調運転はできるようになっているのだが、試運転の結果方向幕と空調の連係が上手く行かなかったため、この組み合わせで営業運転に入ったことはない。

最初期に製造された1001F〜1003Fと1031F〜1033Fは旧車両限界に基づいて製造されたため、車体の幅が狭く、車体下部の裾絞りが小さい。このグループのみが、なんば〜多奈川を直通で結んだ急行「淡路号」として多奈川線への入線実績がある。後に登場する広幅車と併結した場合、車側灯の確認がしづらくなるため、一部の車両には灯火類の位置を広幅車に合わせるために台座が設置された。

1004F・1034F以降は関西空港開業前の車両限界拡大によって車体幅が広がり、車体下部の裾絞りも大きくなった。広幅車は南海線・空港線にのみ在籍しているが、高野線では試運転で橋本以北の全区間に入線実績があるため、広幅車も高野線で運用できないというわけではない。

2000系後期車に引き続き、車端部に4人向かい合わせのボックスシートを配置し、新装備としてドア上にはLEDによる電光掲示板とマップ式の停車駅案内装置が設置された。しかし、相次ぐ駅や路線の統廃合・乗り換え路線の誕生とLEDそのものの劣化により停車駅案内装置は普通の路線図に差し替えられ、文字案内装置のみが残された(岸里・玉出統合による岸里玉出誕生、空港線開業、多奈川線乗り入れ廃止、天王寺線廃止、地下鉄堺筋線天下茶屋開業、水軒廃止などが相次ぎ、末期は訂正のシールでベタベタだった)。

ちなみに、ほとんどの車両には今も路線図の下にマップ式停車駅案内装置の基板が残っており、よく目を凝らすと路線図の下でLEDがチカチカ点滅しているのが見えるはずだ。

ちなみに、製造当初はこの1000系で7000系・7100系を全て置き換えるはずだったのだが、バブル崩壊もあって製造は6連10本・2連6本で終了。7100系の未更新車置き換えるに留まったという、製造から10年ほどしか経っていないのに話すネタは尽きない車両だ。

1000系広幅車

広幅車。車体下部の裾絞りが大きくなっているのがわかる。(萩ノ茶屋駅 撮影:ムーチョ)

1000系住之江競艇ラッピング

住之江競艇ラッピング編成(1005F)。2009年に通常塗装に塗り替えられ、現存しない。(堺駅 撮影:ムーチョ)

1000系minapitaラッピング

南海発行のスルッとKANSAI対応ICカード「minapita」のラッピング編成(1010F)。通常塗装に戻り、現存しない。(萩ノ茶屋駅 撮影:ムーチョ)

1000系みさき公園ラッピング

みさき公園ラッピング編成(1009F)。動物があしらわれたラッピングになっていた。通常塗装に戻り、現存しない。(天下茶屋駅 撮影:ムーチョ)

1000系高野線

高野線のminapitaラッピング(1002F)。本線では消滅したものの、高野線では現存している。(住吉東駅 撮影:ムーチョ)

★50番台
50番台は、2001年に試作車として登場した。特に何かを置き換えたわけではなく本当に試作なので、4連1本しか製造されていない。

1000系0番台の製造終了は1999年だったのだが、この後の車両製造にあたって従来の1000系の製造を再開するにはいささか間が空きすぎていた。

そのため、ほとんど新形式を製造するほどの勢いで製造されたのがこの50番台だ。

まず、車体はステンレス無塗装、またパンタグラフもシングルアームになった。車内のボックスシートは存置されたものの、袖仕切りや手すりの構造が変更されて簡素なものになった。また、停車駅案内装置は当初から装備せず、代わりにドアチャイムと扉開閉予告ランプが設置された。

制御方式も日立製IGBT-VVVF制御に変更になり、純電気ブレーキも装備された。この制御装置、日立としては初めてのIGBT-VVVF装置の製造であったため、南海はちゃんと動くか分からないものを買わされる代わりにかなり安く売ってもらったという経緯がある。

列挙したように、新機軸をやたらと取り入れる一方でコストダウンするところはしっかり落としている。

ちゃんと動いたので、今でも4連単独での普通から、1000系2連を併結した 6連での急行・特急運用まで幅広くこなしている。

1000系50番台

1000系50番台。無塗装になったことで大きく印象が変わった。(新今宮駅 撮影:ムーチョ)

●走行音

・1007F#1307(区急 なんば行き) 堺〜天下茶屋 (6min14sec 5.7MB)
…90年代のインバーター車の典型的な音ですね。車掌さんいい声♪


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