近鉄5200系電車

破格の急行仕様・・・だったのだが 

5200系

更新工事を受けた5205F。大阪線では急行運用は少ない。(大和八木駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ
・最高速度 110km/h
・運用線区・・・・大阪線・名古屋線・山田線・鳥羽線

5200系は1988年に登場した通勤型電車。大阪線・名古屋線の長距離列車や団体専用列車に使用するため、3ドア転換クロスシートという今までにない内装となった。トイレは編成中に2箇所設置されている。

冒頭で述べた通り、普段は大阪線・名古屋線系統での運用が主だが、団体運用で橿原線・京都線・天理線などに入線実績があり、基本的に標準軌線ならどこでも走れる仕様になっている。名古屋線はこれで事足りる。ただ、大阪線では長距離列車の運用は朝晩ぐらいしか見られず、昼間は上本町〜高安の準急(大阪府内で完結してしまう)など、短距離運用が非常に多くなっており、まさに宝の持ち腐れだ。

1420・1430系列と並行して製造されたため、同じ三菱製のインバーター制御装置を装備している。そしてやはり、少ないながらやや鬱陶しめの派生系列が存在する。

5200系は、1988年から4連8本が製造された。そのうち、5204Fまでは1422系と、5205F〜5208Fが1430系と同等の足回りを持つ。

その後、足回りを1435系と同等のものに変更した車両が登場するが、こちらを5209系と区分、4連2本が製造された。

さらに台車をボルスタレス台車に変更して、仕様を1437系に合わせた車両を5211系と区分、こちらは4連3本が製造された。

合計で4連13本が製造され、電算記号は3形式とも共通してVX。

製造から20年が経過していることから、2007年より名古屋線の5202Fを皮切りにシートモケットの変更や車内案内装置の設置を伴った比較的大規模な車体更新を実施した。2008年から更新工事が本格化し、全体の約半数に当たる6本が更新工事を受けている。2008年以降の更新車は急行灯と尾灯がシリーズ21に設置されているものと同じ一体型になった。

この車両が登場した翌年、宿敵JRに221系が登場する。3ドア転換クロスシートという内装をJRに提案したのは、5200系を造って味をしめた近鉄の子会社でもある近畿車輛だった。近鉄は結果的に相手に塩を送る格好になってしまったわけだ。


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