近鉄3000系電車

地下鉄に乗り入れるはずだったのに・・・ 

3000系

鉄道ファン的には面白い珍車だが、運用する側としては邪魔この上ない車であり、予断を許さない。(大和西大寺駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度 110km/h
・運用線区・・・・奈良線・京都線・橿原線・天理線

3000系は1979年に登場した通勤型電車。当時計画進行中だった京都市営地下鉄烏丸線との相互直通運転開始に備えて製造された。詳細は後述するが4連1本で製造終了となった希少形式で、電算記号はSC。

当時の京都線ではまだ3連の列車があったため、Tc-M-Mc-Tcという変則的な4連(3+1連というと分かりやすいか)となり、Tc車を切り離して3連での運行も容易にした。

制御方式は近鉄で最初で最後の採用例である電機子チョッパ制御を採用したのだが、誘導障害の問題があることから、主な走行線区となる京都線・橿原線・天理線と奈良線の大和西大寺〜奈良では誘導障害対策工事が地上側で行われた。このような経緯から、阪神なんば線はもちろん、奈良線の大和西大寺〜大阪難波にも入線しない。(できないことはないが異常時も含めてまず入線しない)

また、近鉄で初めて横軸2ハンドルマスコンを採用、またこれまた近鉄初の電気指令式ブレーキを採用した。これにより他系列の併結は不可能になった。

車体はこれまた近鉄で最初で最後の採用となるオールステンレス車体となった。基本的には8600系の構体をベースにしているが、ステンレスは加工が難しいため曲面構造を避けた平面的なデザインになっている。

で、投入目的であった京都市営地下鉄だが、その延伸工事は大きく遅れて1988年の開業となったため、10年前の設計である3000系の増備は非効率だとの判断から直通車両としてインバーター制御の3200系が製造されることとなり、3000系は試作4連1本のみで製造を終了する。

地下鉄に行かないとなれば今度はその特殊仕様が仇となる。他車と併結出来ないというのは近鉄の車両運用上大きなネックとなる。そのため、結局8600系と同じ運転台構造に変更されたほか、ブレーキも他車と同じ電磁直通ブレーキに変更され、晴れて他車との併結が可能になった。だが上述のとおり運用範囲が限定されていることから専ら京都線・橿原線での4連単独の普通運用に充当されている。


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