近鉄2610・2680・2800系電車

残念な長距離仕様車 

2610系

後継車の登場によりロングシート化がすすみ、L/Cカー改造車を除き、クロスシートで残存する編成はない。(大和八木駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ
・最高速度 110km/h
・運用線区・・・・大阪線・名古屋線・山田線・鳥羽線

★2610系
2410系は1972年に登場した通勤型電車。4連17本が製造された。電算記号はX。

長距離運用をこなしていた2200系の代替として製造されたため、車内は4人向かい合わせのボックスシートになっていたほか、トイレも設置されていた。

ただこのボックスシート、1人では広いし2人では非常に狭いという、スペースの関係上非常に中途半端な幅になっていることから、「1.5人がけシート」などと呼ばれ登場当初から槍玉に挙げられていた。また、シートピッチも狭く、肘掛もないことからロングシート車のほうかマシだと言われるくらいの座り心地だった。

そんなこともあってか、表舞台から去るのも早かった。

1988年、ついに長距離輸送は長距離輸送だと割り切った仕様の5200系(3ドア転換クロス)が登場、2610系は登場から16年で追いやられる存在になる。

だが、図太かった。

1996年には、冨吉検車区の2621F・2627FがL/Cカーの試作車に抜擢される。そしてその成果を生かしデュアルシートを本格装備した5800系・さらには5820系へと発展していく。そして入れ代わりにこの2610系には更新工事とともにロングシート化も行われ、他の通勤車と同じ仕様となった。

何を血迷ったか、最終的に大阪線の5200系は上本町〜高安の大阪府内で完結してしまう準急に重点的に充当されるようになったり、5800・5820系もせいぜい青山町までの急行運用が多くなるなどして、一番キツイ上本町〜宇治山田のロングラン急行はロングシート化された2610系しか来ないというちょっと笑えない状況になっている。

2610系L/Cカー改造車

L/Cカー改造車の2621F。L/Cカーであることを示す運転席下のステッカーが目立つ。(近鉄四日市駅 撮影:ムーチョ)

2800系

2800系。2610系短距離仕様といえる。(大和八木駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ
・最高速度 110km/h
・運用線区・・・・大阪線・名古屋線・山田線・鳥羽線・鈴鹿線

★2800系
2800系は、1972年に登場した通勤型電車。2610系の短距離仕様といえる車両で、車体・走行性能に差異はなく、車内にトイレがないこと、ロングシートであることなど、内装に2610系との差異が見られる。

1987年に2817Fにトイレが設置されたほか、1997年には2610系に続いて2811F・2813F・2814FがL/Cカー試験車となった。この際この3編成にもトイレが設置され、これら4編成は(全て名古屋線所属)他の2800系とは運用が分けられ、2610系や5200系と同じ長距離仕様車のグループで運用されている。

2連2本・3連5本・4連10本の少数派で、電算記号は2・3・4連ともにAX。2連は名古屋線に所属しており、長編成を組む時の増結車として、3連は名古屋線の普通・準急や、朝の鈴鹿線平田町から名古屋行きの急行として、4連はトイレが設置された4編成以外は全て大阪線所属で、大阪線の普通・準急や青山町以西の急行で運用される。

2680系

現存する2680系は鮮魚列車専用の2684Fのみ。(鶴橋にて 撮影:ムーチョ)

●基本データ
・最高速度 110km/h
・運用線区・・・・大阪線・山田線

★2680系
2680系は、1971年に初代ビスタカーである10000系から機器を流用して製造された通勤型電車。電算記号はX。

1979年に2610系と同じ悪評高い「1.5人がけクロスシート」に改造され、長距離運用に就いていたが、旧型車から 機器を流用していることもあって老朽化が著しく、2610・2800系のL/Cカー登場や5200系・5800系に追いやられる形で運用が消滅した。

その後、2001年に2684Fがロングシート化のうえ、上本町〜松阪の鮮魚列車専用車となり、その部品取り用として 2682Fが廃車となったことから、残存する2680系は鮮魚列車専用の2684F1本のみとなっている。

ちなみにこの2684Fが検査入場すると鮮魚列車は2610系4連により代走されるのだが、シートに魚の臭いがつくのを防ぐために座席にはビニールシートがかけられる。(一応座れるようにはなっている)


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