583系特急型電車

昼も夜も使える特急電車 

583系JR西日本更新色

583系最後の定期運用であった急行「きたぐに」。2012年3月に臨時列車化。(大阪駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度 120km/h
・運用線区・・・・・・東海道本線・北陸本線・信越本線
・元運用線区・・・・山陽本線・東北本線・常磐線・鹿児島本線・日豊本線

583系は1968年に登場した特急型電車。直流・交流50Hz、60Hzに対応しており、電線さえあればどこでも走れるようになっている。

大きな特徴は、世界で初めての電車寝台車両であること。120km/hという寝台列車としては驚異的なスピードでの走行を実現できたのも電車ならではだ。(現在最新の機関車を使った貨物列車でも最高速度は110km/hでしかない)

また、昼夜問わず使える特急電車であることも特徴で、夜行列車として運用に就いたあと、朝ラッシュの時間帯に車庫に入って寝台から座席に転換して昼行特急の運用に就き、また夕ラッシュになると車庫に入って寝台に転換して夜行列車になるというフル稼働の運用を続けていた。費用対効果の面でもかなり効率的だったことはいうまでもない。

ただ、新幹線の延伸に伴う夜行列車の廃止によって活躍の場を失っていき、国鉄末期には普通列車用に改造されて全国各地に散らばった。

夜行列車廃止後も昼行特急用の電車として特急運用を続けるという選択肢ももちろんあったのだが、そうされなかったのにはいくつかの理由がある。

まず、座席車として使用する際に、その構造上4人向かい合わせのボックスシートにせざるを得なかったこと。つまり、列車中の半分の座席は後ろ向きであり、「これでも特急か」という声も多数寄せられたそうだ。

次に、交直流電車であったうえに、あまりに多機能だったために車体重量がかなり重く、そんな電車が昼夜問わず走り回っているので軌道の痛みがかなり激しくなり、保線からも不満が噴出したこと。

最後に、1日中フル稼働だったので経年の割に車両の痛みが激しく、これから長い間にわたって特急運用をこなし続けるのは無理があったこと。

大きくは上の三つの理由から登場から20年余りで普通列車として隠遁生活を送ることになった。そのごの人生については419系の解説で触れているのでここでは割愛する。

唯一の定期運用であった大阪〜新潟の夜行急行「きたぐに」が2012年3月のダイヤ改正で、季節列車化され、現在定期運用は存在しない。「きたぐに」に充当される583系はJR西日本お得意の更新色に塗り替えられ、外見は確かに綺麗にはなっているが、車両の老朽化はもはや限界であり、2014年には北陸新幹線の金沢開業も控えていることから、583系の今後については不透明である。

登場時の塗装で残っている583系は波動用に残る秋田・仙台の6連2本12両のみである。


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