485系特急型電車

国鉄特急型電車の決定版! 

485系国鉄色

485系使用列車の代表格だった「雷鳥」。2011年に引退し、JR西日本による485系使用の定期列車が消滅した。(大阪駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度 120km/h(青函トンネル内のみ140km/h)
・運用線区・・・・・・北陸本線・信越本線・羽越本線・奥羽本線・湘南新宿ライン・東北本線・津軽海峡線・江差線・
函館本線・高崎線・上越線
・元運用線区・・・・室蘭本線・東海道・山陽本線・湖西線・阪和線・紀勢本線・鹿児島本線・長崎本線・佐世保線・日南線
日豊本線・宮崎空港線・北越急行線・東武伊勢崎線・東武日光線・富山地方鉄道線など多数

485系は1968年に登場した特急型電車。直流・交流60ヘルツに対応した481系と、直流・交流50ヘルツに対応した483系、さらに直流・交流50・60ヘルツに対応した485系を総称して485系と呼ぶことが多い。

新幹線を除いた日本に存在する全ての電化方式に対応していることから、さまざまな番台区分が誕生し、全国各地に 投入された。特に、電化方式の違う都心と地方を結ぶ長距離特急に重宝された。そのため、上野から仙台を結ぶ「ひばり」や、青森まで行く「はつかり」、山形へ行く「つばさ」、また大阪からは北陸方面への「雷鳥」や、北陸を通り過ぎて青森までを結ぶ「白鳥」などに、また関門海峡を越えて九州方面への特急にも投入され、その活動範囲は全国各地に広がった。

こうして解説を書いていると、完全に消えてしまった列車名や、新幹線に受け継がれた列車名、さらには別の系統の列車名として復活したものなど、いろいろと懐かしくなってくる。

これは通勤型でいう103系や近郊型でいう113・115系と同じパターンであるが、無理矢理に全国を同一車両で統一しようとしたがために「これは失敗だろう・・・」と言わざるを得ないようなバリエーションもいくつかある。

その代表格が1500番台。当時の国鉄は北海道の電化用に本州用の485系に耐寒設備を施した1500番台を製造して北海道に投入するが、北海道の気候は想像以上に過酷で、485系では故障が続発、本気で耐寒耐雪設備をもった781系を急遽新造して置き換え、1980年までに全車が北海道を後にして青森へ転属となった。

その後1500番台は日本全国へたらい回しにされる。特筆すべきはクハ481-1508であり、この車両は1982年と1985年に鹿児島に転属したことがあるため、全国35都道府県に足を踏み入れたことがあるという特異な経歴を持つ車両だ。JR化後は1500番台車全てが一度は全車が新潟に転属、その間に更新工事が施され、3000番台に改番されたものやジョイフルトレインに改造されたものもあり、最終的に関東各地に散らばっている。

関西地区では山陽新幹線開業後は大阪〜金沢・富山・新潟などの「雷鳥」が主な活躍の場となり、JR化後にはパノラマグリーン車を連結して「スーパー雷鳥」となるものも現れた。後継車である681・683系の増備がすすむと、「スーパー雷鳥」は廃止され、パノラマグリーン車連結編成は名古屋〜富山の特急「しらさぎ」に転用、さらに「しらさぎ」にも683系が進出してくると、国鉄色に戻されて再び「雷鳥」の任に当たるようになった。この「雷鳥」だが、683系の増備がすすむにつれ次第に勢力を減少、2011年3月改正でついに引退となった。

九州では1965年から485系が運用されたが、これは本州からの直通運用が主であったため、車両の所属は向日町運転所だった。九州で昼間に走っている電車の所属する車庫が京都にあるというのは、いま考えるととんでもない話だが、新幹線のなかった頃は当たり前だったのだろう。

1975年に山陽新幹線の延伸開業によって向日町から九州へ485系が転入、島内特急としての運用を開始した。ちなみに九州に配属された485系はJR化後に交直切り替えスイッチを交流側に固定する工事を受けているために現在は直流区間には入線できなくなっており、485系を名乗ってはいるものの、事実上交流専用電車だ。そして九州の485系も「雷鳥」と時を同じくして2011年3月改正で引退した。

最後に、元運用線区に阪和線・紀勢本線とあるのがお分かりいただけるだろうか。

実は、この485系、くろしおに使用されたことがある。好評を博していた「くろしお」の増発に381系の増備が追いつかなかったためである。だが、振り子式の381系に対して、曲線対策の装置を持たない485系ではどうしても所要時間に差が出来てしまうことから、381系の投入が進んだ1986年、485系「くろしお」はわずか1年の幕を降ろす。もともと長期使用するつもりはなかったとはいえ、国鉄の行き当たりばったりぶりが露呈したかたちだ。

「くろしお」から撤退した485系は福知山線へ転属となったが、七尾線電化の際に113系に交流機器を譲って直流専用となり、183系と改番されたが、これはまた別の話だ。

485系パノラマグリーン車

485系パノラマグリーン車(元「スーパー雷鳥」)。(新疋田〜敦賀 撮影:ムーチョ)

485系新潟地区用

「ムーンライトえちご」に充当される485系新潟車。「えちご」は2010年に183系化された。(新潟駅 撮影:ムーチョ)

485系上沼垂色

新潟地区の485系のうち、初期にリニューアルされた車両はこのような塗装に変更されている。(新潟駅 撮影:ムーチョ)

485系3000番台

新潟地区の485系のうち、大幅にリニューアルされて3000番台になったもの。(おごと温泉駅 撮影:ムーチョ)

485系3000番台

485系3000番代青森地区仕様。(青森駅 撮影:ムーチョ)

485系あいづ仕様

東武鉄道に直通して新宿〜日光・鬼怒川温泉を結ぶ「日光」・「きぬがわ」用に改造された485系。東武直通特急に253系が投入されて以降、あかべぇのステッカー貼付のうえ、磐越西線の快速「あいづライナー」に再転用された。(郡山駅 撮影:ムーチョ)

485系「華」

JR東日本ではジョイフルトレイン化された485系も多い。こちらはお座敷列車「華」。(黒磯駅 撮影:ムーチョ)


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