381系特急型電車

国鉄初の量産型振り子式電車だが、酔い止め必須の乗り心地 

381系国鉄色

ダイヤ乱れによって2009年11月に運転された国鉄色車での「くろしお」。今はもう見られない貴重な姿。(鳳駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度 120km/h
・運用線区・・・・・・東海道本線・大阪環状線・阪和線・紀勢本線・大和路線・山陽本線・伯備線・山陰本線
・元運用線区・・・・中央本線・篠ノ井線

381系は1972年に登場した特急型電車。

日本は山が多く、必然的に鉄道路線も急カーブの続く険しいものとなり、スピードアップを阻む大きな要因は車両の性能よりも線形の悪さによるところが大きかった。そのため、国鉄ではカーブの通過速度を向上させるために振り子式の 試作車591系を製造して試運転を実施、その結果をもとに開発されたのがこの381系だ。カーブを走行する際に生じる遠心力を利用した自然振り子装置を採用し、カーブの通過速度を本則+5km/h〜15km/hとし、所要時間の短縮に大きく貢献した。

まずは中央西線の特急「しなの」に投入され、名古屋から長野を結ぶ。人気を博した381系は、同じくカーブの多い紀勢本線の「くろしお」に投入、さらに岡山から伯備線経由で出雲市までを結ぶ「やくも」にも充当されるようになる。

JR初期には、「しなの」「くろしお」「やくも」ともに更新工事を実施され、先頭車をパノラマグリーン車に改造した車両が登場、強力なライバルに成長していた高速バス相手に健闘を見せる。

JR東海は、1996年に後継となる383系を投入、長野オリンピック関連の波動輸送が終了するとともに381系の廃車を開始。しばらくは予備編成2本のみが残存していたが、それも2009年に廃車となり、JR東海管内から381系が消滅した。一部車両は2011年にそれらがJR東海が名古屋市に建設した「リニア・鉄道博物館」にて保存されている。

一方JR西日本は、1996年に後継となる283系を投入、「オーシャンアロー」として運転を開始したがぱっとせず、381系も多数が残存することとなった。そのため、ほとんど全ての編成にリニューアル工事を施した。塗装は283系をイメージした白に青緑のラインを配した塗装になり、内装も大幅に更新された。

同じく2007年には、「やくも」用381系にも大規模なリニューアル工事を実施、ピンク基調の塗装に変更したうえに、座席の変更やシートピッチの拡大など、新車同然の見かけとなった。

その一方一連のリニューアル工事の対象外となった日根野電車区所属の一部車両は国鉄色のまま残存、特急運用には入らず、天王寺〜和歌山の「はんわライナー」、大阪・JR難波〜加茂の「やまとじライナー」にて運用。ただし、多客期には出雲へ貸し出しされ、「やくも」の増結車として特急運用に入ったり、2010年4月〜6月には平城遷都1300年祭を記念して新大阪〜奈良で運転された特急「まほろば」に充当された。

しかし、2011年3月改正で「はんわライナー」・「やまとじライナー」が廃止されると未施工編成は福知山へ転属。183系に混じって特急「こうのとり」に充当されるが、5月末で全車が287系に置き換えられて廃車となり、381系未施工編成はここに消滅した。

また、2012年からは日根野にも287系の投入が始まり6月にはパノラマグリーン(PG)の無い非PG編成が定期運用から離脱し、国鉄色に塗り替えられて福知山電車区に転属、183系を置き換えている。

381系くろしお用リニューアル車

くろしお用リニューアル車。緑基調の塗装に変更されている。(大正駅 撮影:ムーチョ)

381系くろしお用パノラマグリーン車

紀勢本線向けパノラマグリーン車。「スーパーくろしお」に充当される。(上野芝〜津久野 撮影:ムーチョ)

福知山に転属した381系国鉄色

日根野所属の未施工編成は2011年3月に福知山に転属。3ヶ月余りの代打運用の後に廃車になる。(城崎温泉駅 撮影:ムーチョ)

381系やくも色

3代目「やくも」色。「ゆったりやくも」へのリニューアル工事の進行に伴い、この塗装は近いうちに消滅する見込み(中庄駅 撮影:ムーチョ)

381系ゆったりやくも

「ゆったりやくも」に改造された381系。ピンク基調の塗装に変更、内装も大幅に改善された。(中庄駅 撮影:ムーチョ)


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