223系近郊型電車

15年にわたって製造されたJR西日本のスタンダード

223系0番台

0番代。阪和線・関西空港線を中心に大阪環状線・きのくに線に乗り入れて周参見までをカバーする。(長居駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ
・最高速度・・・・0番台・2500番台・5500番台・6000番台・・・120km/h
1000番台・2000番台・5000番台・・・130km/h
・運用線区・・・・東海道・山陽本線・北陸本線・湖西線・草津線・福知山線・山陰本線・阪和線・きのくに線・関西空港線・
宇野線・瀬戸大橋線・予讃線
・元運用線区・・JR東西線・学研都市線・大阪東線・大和路線

★0番台・100番台・2500番台
1994年に登場した近郊型電車。関西空港の開港に備えて6連(0番代)と2連(100番代)が10本ずつで製造される。100番代は大阪方先頭車の運転室直後の客室をつぶして荷物室をせっちしていた。関西空港の開港後は関空快速や指定席連結の関空特快「ウィング」として京橋・JR難波〜関西空港で運用される。誤乗も多かったことに加えて、乗車率も芳しくなかったことから指定席車の連結を廃止し「ウィング」も関空快速に統合される。この際、100番台は荷物室廃止して客室を復元、0番台と100番台の差異はなくなった。

その後、5+3連に組み替えられて京橋〜和歌山を結ぶ(京橋〜日根野は関空快速と併結)紀州路快速が誕生するが、この際先頭車が4両不足するために、当時製造されていた2000番台1次車をベースに2500番台1次車が先頭車のみ4両製造される。2006年には予備車確保のために2500番台2次車が5連・3連1本ずつ製造され、これが初めての2500番台中間車の製造となった。

5+3連だった関空・紀州路快速だが、データイムは和歌山方の5連が関西空港行き、大阪方3連が和歌山行きで、ラッシュは和歌山方5連が和歌山行き、大阪方3連が関西空港行きと変わるほか、運用の都合上ごく一部ではあったが3+3連の関西空港・和歌山行きが運転されるなど、時間帯や列車によって行先が異なるために誤乗が多発していた。

そのため、天王寺の阪和線〜大阪環状線の短絡線の複線化による関空・紀州路快速の増発や老朽化の進む103系の置き換え、そして編成ごとの行き先を統一するために2008年3月改正において、2500番台3次車が60両とまとまった数製造され0番台を含めて全て4連に組み替えられることとなる。これにより、関空・紀州路快速は終日和歌山方4連が関西空港行き、大阪方4連が和歌山行きに統一された。

2010年に225系が登場すると225系と共通運用化され、225系との併結も常態化、113系を置き換える形で運用範囲が周参見まで伸びている。

0番台は東芝製GTO-VVVF制御、2500番台は東芝・三菱・日立製のIGBT-VVVF制御を採用している。

223系2500番台

2500番台。2000番台ベースだが、帯の違いもあって印象は2000番台のそれとは大きく異なる。(福島駅 撮影:ムーチョ)

★1000番台・2000番台
1000番台は1995年に登場。東海道・山陽本線の新快速の130km/h運転開始に備えて製造。

本来は製造時期はもう少し後になるはずだったが、同年初頭に阪神・淡路大震災が発生。並行私鉄よりも復旧の早かったJRは乗客が急増。この増えた他社の乗客を逃さないためにも製造を前倒しし、同年夏に営業運転を開始した。京阪間30分、阪神間20分という速さもあいまって地震の影響で他社から移ってきた流動的なユーザーを繋ぎとめ、JRは一気に京阪神間輸送のトップの座を不動のものにする。並行私鉄の最速達列車である特急の停車駅がどんどん増えているのは、京阪神間輸送でJRとの競争を諦め、近距離輸送(例えば大阪〜西宮や高槻〜京都)に徹しているからである。

1000番台では座席が扉間5列となり、221系と比べて1列減っているものの扉付近のスペースを広げたうえにその位置に補助椅子を設置。補助椅子を含めた座席定員では221系を上回る。

223系1000番台が好評のうちに迎え入れられ、JRは引き続きコストダウン仕様の2000番台を製造する。
2000番台は1999年から2006年まで450両近くが製造され、これにより東海道・山陽本線の全ての新快速とほとんどの快速を223系による運転とし、余剰となった221系は関西各地に転属して国鉄型電車を置き換えている。

運用範囲が広いことも特徴で、北は敦賀、東はJR東海に乗り入れて大垣から西は上郡や播州赤穂まで新快速や快速として運行するほか、間合いで湖西線や草津線の普通列車もこなし、マリンライナーの事故代走として高松まで(詳しくは5000番台の項を参照)、臨時列車としては広島まで、乗務員訓練で名古屋まで入線した実績がある。

223系1000番台

1000番台は92両のみの少数派。側面にビードがある223系はこの番台のみ。(甲南山手駅 撮影:ムーチョ)

223系2000番台

2000番代。2000番代以降、前面行先LEDがドットの細かいものになっている。(甲南山手駅 撮影:ムーチョ)

2000番代2次車

2000番代1次車・2次車はライトケースが車体と一体化されていない。(甲南山手駅 撮影:ムーチョ)

V16編成

V16編成は2000番代ながら前面の行先LEDが1000番代と同じドットの粗いタイプ。(甲南山手駅 撮影:ムーチョ)

★6000番台(網干車)
6000番台は2000番台1次車を種車に、2008年に改造されたグループ。東海道・山陽本線の221系置き換えは4連から優先的に進められたため、221系で6+4の10連や8+4の12連を組む際、221系4連が足りず、運用が組めない状態に陥った。そのため、223系の一部を221系性能へと固定したうえで6000番台と区分した。

元々223系は221系と併結した際に性能を221系に合わせて走行することは可能であるが、上記の理由から221系と223系の併結が恒常的に発生するため、乗務員の性能選択スイッチの操作ミスを防ぐためにこのような番台区分を登場させることになった。運転台のインテリアは2000番代時代と全く変わらないために、運転士に6000番台であることを強く認識させる必要があり、運転台には「221系性能」と書かれたシールが目立ち、前面の貫通扉と側面の乗務員扉にも221系性能であることを表すオレンジ色のテープが貼られている。

★6000番台(宮原車)
元々2000番台6次車グループ(6104(MA01)〜6123(MA20))と福知山線から221系を淘汰するため網干総合車両所から転属して宮原運転所に投入された2000番台7次車グループ(6123(MA21),6124(MA22))が存在する。
2008年のおおさか東線開業を目前に控えた2007年、尼崎〜奈良をJR東西線・おおさか東線・大和路線経由で結ぶ「直通快速」に充当されるために製造された。おおさか東線の設備が完成した2008年初頭、2000番台として試運転を開始したが、走行区間に130km/h対応区間がないため試運転中に突如6000番台に改番された。また、JR東西線を走行するために製造されたグループ(MA01〜MA20)は223系で初めて2パンタとなった。なお、後に転属したMA21,MA22はJR東西線内の走行を考慮されていないため1パンタのままである。

おおさか東線開業後、予定通り直通快速に投入されたものの、当時の運用は奈良と尼崎を1日1往復して終了という 極めて非効率なものであったが、同年6月から福知山線の快速・丹波路快速に進出。一方、2011年にJR東西線の北新地駅に4ドア車用のホームドアが設置されたことから直通快速の運用から撤退、学研都市線・おおさか東線・大和路線からは撤退となった。

223系6000番台(網干車)

6000番台網干車。221系との併結に対応。貫通扉に貼られたオレンジ色のテープで2000番台と容易に区別できる。(甲南山手駅 撮影:ムーチョ)

223系6000番台

6000番台宮原車。貫通扉に貼られたオレンジ色のテープで2000番台と容易に区別できる。(尼崎駅 撮影:ムーチョ)

★5000番台
5000番台は2003年に製造された。岡山〜高松の快速「マリンライナー」として運用される。JR四国との乗り入れ協定により、他編成と併結した際に貫通幌を通せる仕様にすることが必要となり、前面デザインは従来の223系と比べてかなり平面的なものになった。

2連7本が製造され、同仕様のJR四国5000系と組んで5連で運用されるが、乗客が意外に多かったために2007年に網干区の2000番台からサハを借り受けて3連化され、マリンライナーは基本的に6連での運転となった。

ただ、2010年3月改正で中間に組み込まれた網干車のサハは編成から抜かれて網干に返却、マリンライナーは5連での運転に戻った。

ちなみにこの5000番台、6運用に7本というギリギリの運用を組んでいるうえによく事故に遭うことでも有名で、P1編成は一度踏み切りでトラックと衝突し先頭車が大破して車両が不足、網干区から2000番台のクモハを急遽借り受けて先頭に連結して運転したこともある。

その後P1編成は運用復帰となるが、先頭車の前面方向幕が確保できなかったらしく、先代マリンライナーである213系の「快速マリンライナー」幕を貼り付けて使用していたが、2010年頃より通常の幕に交換された。

223系5000番台

000番台。2010年3月改正でこの3連の姿は見られなくなる。(岡山駅 撮影:ムーチョ)

★5500番台
5500番台は2008年に製造された223系の最終ロット車である。福知山線の篠山口〜福知山や山陰本線の京都〜城崎温泉で使用されていた113系3800・5800番台を置き換えるために製造された。ちなみにこの電車の投入に当たって京都府などが製造費用の一部を負担したいわゆる「お布施」電車である。走行区間に130km/h対応線区が存在しないこと、また山陰本線で221系と併結する運用が存在するため、この番台も221系性能固定車であり、6000番台と同じく前面貫通扉と側面乗務員扉にオレンジ色のシールが貼られている。

5000番台と同じく2本以上併結した際に貫通幌を通せるようになっていて、前面デザインも5000番台や521系と同じ平面的なものだ。

これまで頑なに転換クロスシートを貫いてきた223系だが、この番台では車端部の座席がロングシートとなった。また、ワンマン運転にも対応しており、運賃箱や整理券発行機が設置されている。

運用範囲は広く、山陰本線の京都〜城崎温泉や福知山線の篠山口〜福知山で運用される。

223系5500番台

5500番台。2010年から後継となる225系の製造が開始されたため、これが223系最終増備となった。(京都駅 撮影:ムーチョ)

●走行音

 ★0・100番台
・クモハ223-3(紀州路快速 和歌山行き) 日根野〜和泉砂川 (5min00sec 4.6MB)
…東芝GTO-VVVFの特徴あるサウンドです。「これぞインバーター!」といえるスタンダードな音。JR東海の383・373系やJR九州の813系などとはバージョンが違い、重低音が効いています。

 ★2500番台
・モハ223-2502(関空・紀州路快速 天王寺行き) 森ノ宮〜鶴橋 (3min46sec 3.6.MB) ※東芝製制御器搭載車
…223系では比較的少数派である東芝製制御器搭載車です。製造当初は「キーン」という甲高い非同期音を発していましたが、純電気ブレーキ対応によるインバーターのソフト変更で現在のような「シュワー」という非同期音を出すようになりました。
・モハ223-2501(関空・紀州路快速 関西空港・和歌山行き) 弁天町〜新今宮 (8min28sec 7.1MB)
※日立製制御器搭載車

…こちらは日立車。京セラドーム大阪にてイベントがあり、多客のため大正に臨時停車します。余談ですが、この件で運転士が通告券をもらったのは大阪。車掌が知ったのはおそらく西九条。もうちょっと早く渡してやれないのかなぁ・・・。 

★1000番台
・クモハ223-1012(新快速 野洲行き) 三ノ宮〜芦屋 (7min52sec 6.6.MB) ※東芝製制御器搭載車
…1000番台東芝車。甲高い非同期音を発しますが、2000番台東芝車の初期の音とは別物。この列車、神戸手前と三ノ宮手前で先行列車に追いついたわけでもないのになぜか低速走行。2分ほどの遅れをもって三ノ宮を出発、回復運転が楽しめます。

★2000番台
・クモハ223-2161(新快速 姫路行き) 近江中庄〜近江今津 (7min22sec 7.0.MB) ※三菱製制御器搭載車
…三菱車は一目ならぬ一耳で聞き分けられる特徴のある音を出します。2000番台は三菱車の割合が最も高くなっています。この列車は近江今津で連結作業を行います。関東の赤い会社と違ってもどかしい作業・・・。

・クモハ223-2048(新快速 米原/近江塩津行き)_高槻〜京都(12min47sec_12.3MB)_※日立製制御器搭載車
…遺憾なくJR京都線内を走行する223系2000番台をご満足頂けるほどお楽しみ頂けます。

★5000番台
・クモハ223-5005(快速マリンライナー29号 高松行き) 児島〜坂出 (15min04sec 5.4.MB) ※三菱製制御器搭載車
…瀬戸大橋区間です。マリンライナーの児島〜高松では、ドア閉め後に車掌がブザーによる発車合図を出し、運転士がそれを確認した後に発車します。私鉄でよくある2打音方式ですが、JRではなかなか珍しい。(主流は1打音の連続音)

★5500番台
・クモハ223-5510(普通 豊岡行き) 養父〜八鹿 (6min02sec 5.7.MB) ※東芝製制御器搭載車
…ワンマン運転を行っています。放送は永楽形の女声の方ですが、名前がわからない・・・。元々は130km/hで走れる性能を持った電車だけに、この80km/hぐらいでの走行には余裕があある・・・いや、持て余しすぎてもったいない。


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