205系通勤型電車

逼迫した国鉄財政を救った遺作はJR化後も大量増備

205系阪和線

阪和線の205系0番台。東海道・山陽緩行線からの転属車。2010年に再転属し、現在では見ることができない。(鳳〜富木 撮影:ムーチョ)

●基本データ
・最高速度 100km/h
・運用線区・・・・仙石線・埼京線・川越線・八高線・横浜線・相模線・南武線・南武支線・京葉線・武蔵野線・鶴見線・
日光線・東北本線・阪和線
・元運用線区…山手線・京浜東北線・中央・総武緩行線・内房線・東海道・山陽緩行線・福知山線

1985年に登場した通勤型電車。製造コストが高かったために103系を淘汰しきれなかった201系に代わり、今度こそ103系の後継となるために製造された。国鉄は210系で採用した直流複巻電動機と電気子チョッパ制御がコスト高の主たる原因であるとして、この205系と近郊型の211系のために従来の抵抗制御車と同じ直流直巻電動機を使用しながら電力回生ブレーキを使用可能にした界磁添加励磁制御を開発した。

最初に試作4編成が投入されたが、この4編成のみは側窓が2段上昇式(俗に言う「田窓」)となっている。これは、この当時の国鉄総裁が横浜市営地下鉄2000系を見て「この窓(1段下降窓)かっこいいから次からこれで。」との一声により、第5編成以降の量産車は全て1段下降窓で製造された。

まず山手線に投入され、103系を一気に置き換える。その後関西地区の東海道・山陽緩行線に7連4本という少数ながら投入されるが、国鉄時代の増備はここまでで終了。

JR化後、JR東日本では引き続いて205系の製造が続けられ、埼京線・横浜線の103系を全廃したほか、京浜東北線・中央・総武緩行線・南武線・相模線・京葉線・武蔵野線へも投入され、さらに山手線の205系には6ドア車が組み込まれて11連化された。この6ドア車はこのあと横浜線や埼京線にも波及。また、京葉線・武蔵野線へ投入された車両は205系の実質的最終ロットで、この2線区の車両のみ前面形状が大きく違っている(通称「メルヘン顔」)。

京浜東北線への209系の投入、山手線へのE231系500番台の投入により、両線の205系は編成の組み替え、先頭車化改造、さらには一部はVVVF化まで行って東日本各地に転属。先頭車化改造された車両はそれまでとは全く違った顔になり、運転台周りも209系に準じたワンハンドルマスコンに改造された。また、2010年には京葉線にもE233系が投入され、2011年に京葉線用の車両が引退し、田窓の量産先行車を含む元山手線車両の一部は富士急行へと譲渡されたほか、メルヘン顔の車両の一部が更新工事のうえ東北本線の宇都宮〜黒磯の区間列車や日光線の107系置き換え用に転用された。

一方関西ではJR化後は1000番台4連5本が追加製造されただけでその後の増備はなく、通勤型電車の製造は早々に207系に移行する。その後、2005年の321系投入に伴い東海道・山陽緩行線・福知山線から撤退し、全車が阪和線に転属。しかし、2010年の225系投入で塗装を207系や321系と同じものに変更したうえで東海道緩行線へと復帰した・・・と思ったら2012年に再び阪和線に戻ってきた。207系と同じ色のままで。。。

2012年からはJR西日本に在籍する0番代・1000番代ともに体質改善工事が開始された。方向幕がLED化されたほか、スカートは大型のものに換装。車内は吊り手がオレンジになったり、LEDによる車内案内装置の設置、座席端袖仕切りの変更などかなり大規模な改造工事となった。車両数が少ないこともあってか、103系のようにだんだん更新メニューが退化していくこともなく2013年に在籍全車両への体質改善工事の施工が完了した。

205系京葉線試作車

京葉線の205系(山手転属組)。田窓が特徴的な試作車は4編成全てが京葉線へ転属した。2011年に引退。(舞浜駅 撮影:ムーチョ)

205系京葉線メルヘン顔

京葉線と武蔵野線に投入された通称「メルヘン顔」。ブレーキが強化されて最高速度が110km/hとなった。
E233系の投入に伴い2011年に京葉線から撤退。(舞浜駅 撮影:ムーチョ)

205系武蔵野線

武蔵野線の205系。山手転属組はVVVF化改造を受けて5000番代となった。(舞浜駅 撮影:ムーチョ)

205系横浜線

横浜線の205系。デジタル無線設置に伴い方向幕がLED化された。幕時代は見づらいことで悪評高かった。(八王子駅 撮影;ムーチョ)

205系埼京線

埼京線205系。6ドア車には痴漢対策で監視カメラが設置されることになった。(高田馬場駅 撮影:ムーチョ)

205系仙石線

仙石線205系。最新の保安装置「ATACS」が装備されている。(小鶴新田駅 撮影:ムーチョ)

205系東海道本線復帰後

2011年より再度阪和線から東海道本線に戻った205系。207系や321系に合わせた塗装に変更されている。しかし、東海道本線での二度目の活躍はわずかに2年で終了、体質改善工事施工のうえまたもや阪和線に転属となった。(吹田駅 撮影:ムーチョ)

205系1000番台

阪和線に投入された1000番台。0番台と比べて前面窓の大小が左右逆転したほか、車外スピーカー設置、最高速度も110km/hに向上、補助電源装置もSIVとされるなど、足回りも0番台よりもどちらかというとその後登場することになる221系に近い。(上野芝〜津久野 撮影:ムーチョ)

205系1000番台体質改善車

2012年より阪和線の1000番代にも体質改善工事が施工。方向幕がLED化されたほか、スカートが大型のものに換装されるなど大きな変化となった。(長滝〜新家 撮影:ムーチョ)

●走行音

☆0番台
・モハ205-106(普通 天王寺行き) 鳳〜上野芝(5min04sec 4.8MB)
…東海道・山陽緩行線から転属してきた0番台。6連、8連2本ずつのみの在籍のため、見かける機会はそう多くありません。2010年に東海道・山陽緩行線へ再転属したため現在では聞けず。

☆1000番台
・モハ205-1002(区間快速 天王寺行き) 堺市〜天王寺(8min06sec 7.9MB)
…人目に付く時間帯はいつも普通運用な205系1000番台ですが、早朝1本だけ上りの区間快速が、折り返しに下りの快速があります。この1往復だけは「(そこそこ)かっ飛ばす1000番台」が楽しめます。

☆3100番台
・モハ205-3102(普通 あおば通り行き) 小鶴新田〜苦竹(2min47sec 2.6MB)
…仙石線の205系。元山手線車両ですが、ドアチャイム・半自動ドアを装備するなど、その雰囲気は少し異なっています・・・が走ればやぱり205系。


・国鉄・JR通勤型電車トップページ
・鉄道車両図鑑トップページ    
・Hanwa Network Stationトップページ

inserted by FC2 system