183・189系特急型電車

直流特急型電車のスタンダード・・・だがやっぱりJR 西日本は一味違う

189系あずさ色

JR東日本の183系・189系は波動輸送用車として全国各地を駆け回っている。週末ごとに運転される、新宿から富士急行線に乗り入れて河口湖とを結ぶ臨時快速「ホリデー快速河口湖」で事実上の定期運用を持つ。(高円寺駅 撮影:ムーチョ)

●基本データ

・最高速度 100km/h
・運用線区・・・・・・東海道本線・中央本線・上越線・信越本線・高崎線・山陰本線・福知山線・北近畿タンゴ鉄道線・
富士急行線・(ほか団体列車で全国各地へ)
・元運用線区・・・・総武本線・京葉線・外房線・内房線・成田線

183系は1972年に登場した特急型電車。

総武快速線東京〜錦糸町の完成と房総地区の電化完成に伴い、東京から房総各地への特急列車のために製造された。まず「さざなみ」・「わかしお」に投入され、続けて「あやめ」・「しおさい」、さらに「すいごう」へと運用を拡大、253系「成田エクスプレス」の登場まで、千葉支社担当の特急列車の全てを受け持っていた。

続けて、老朽化の進む181系の一部置き換えのために東京〜新潟の「とき」に投入されるが、こちらは1982年の上越新幹線開業によって千葉へと転属した。最初から新潟地区での長期の使用は予定しておらず、あくまでピンチヒッターだった。

その後松本電車区にも投入され、「あずさ・「かいじ」として運用を拡大、房総地区の各列車と並んで183系の看板列車となった。JR化後にはあずさ用の車両にリニューアル工事が実施され、白地に緑と赤のラインが入った塗装に変更、さらに白地に水色と紫をあしらった塗装(写真)に変更され、「グレードアップあずさ」と命名される。

189系は1975年に登場。183系をベースとしており、信越本線の横川〜軽井沢を走行するにあたって、補機となるEF63と協調運転を行えるようになっている。信越本線経由で東京と長野を結ぶ特急「あさま」に投入されるが、北陸新幹線の開業に伴って「あさま」は廃止。横川〜軽井沢の路線も廃止され、各塗色に変更のうえ関東各地区や新潟地区へ散らばった。現在の定期運用は新潟地区の快速「妙高」のみである。

2001年からE257系が投入され、房総方面、松本方面ともに183系の置き換えが進み、2005年に全ての特急運用から撤退・・・するものの、波動輸送用車として多数が残存、定期的に運転される臨時列車としては中央本線から富士急行線へ乗り入れて新宿〜河口湖を結ぶ「ホリデー快速河口湖」のほか、東京〜大垣の「ムーンライトながら」、さらに2010年には新宿〜新潟の「ムーンライトえちご」へも充当されるようになり、久々の上越方面への乗り入れ再開となった。

また現在でも臨時列車としてごく偶に特急「あずさ」や「かいじ」に充当されることもある。ジョイフルトレインへの改造車も多数あり、そのほか団体臨時列車としても全国各地を駆け回っている。

183系800番台

183系800番台。485系からの改造車で、窓下に細い帯が入っているのが特徴。(二条駅 撮影:ムーチョ)

183系というのは、改造遍歴も投入列車・線区も多く、ただでさえその歴史を追うのに苦労するので、ここで解説を終えることができればどんなに楽だろう。しかし、そうはさせてくれないのがJR西日本。この会社のやることは悪い意味で 一味違う。

1986年に、紀勢本線の特急「くろしお」にて運用されていた485系(これはこれで迷車なのだが)が北近畿地区に転用され、特急「北近畿」にて再デビューとなった。その後、1991年に七尾線の電化が行われ、交直流近郊型電車が必要となったが、当時捻出できたのは福知山線の113系だけだった。

そこで、JRの担当者は何を血迷ったかこんなことを決めてしまった。

「485系から交流機器奪って113系に取り付ければいいじゃん!」

・・・そうして生まれたのがこの183系800番台だ。485系から交流機器を奪ってみるとあら不思議、関東の183系と全く同じ走行性能になるではないか。そこで、183系を名乗らせることにしたもので、関東の純正183系とは無関係・・・いや、そもそもから全く違う電車だ。ただ、国鉄色にしてしまうと外見が485系そっくりだったためか(元が同じなのだから当たり前だが)側面窓下に細い赤帯が一本追加されている。

その後、交流機器を撤去はせずに使用停止とした200番台が出現、以後雷鳥系統に683系が増えるたびに捻出された485系が北近畿地区に転用されて183系は増殖を続け、JRお得意の更新色の車両も現れ、2009年に485系から改造されたグループはついに窓下の細帯も省略して純正国鉄色となった。

2011年より北近畿地区に新型の287系が投入されると、ATS-Pを持たない更新車が引退。さらに2012年に阪和線・紀勢本線の特急「くろしお」にも287系が投入されると余剰となった381系が北近畿地区に転属。この381系がとどめをさす形となって、西日本の183系は全て引退となった。

183系800番台更新色

JR西日本お得意の更新色。この色はその後「くろしお」や「やくも」にも採用される。2011年3月に引退。(大阪駅 撮影:ムーチョ)

183系800番台国鉄色

2009年に485系から改造されたグループ。窓下の細帯が省略されて純正国鉄色になった。183系としては短命に終わり、より古いグループより早く、改造から1年後の2010年に引退。(大阪駅 撮影:ムーチョ)

●走行音

・モハ188-34(快速ムーンライトながら 東京行き) 品川〜東京 (7min59sec 2.8MB)
…有名な快速「ムーンライトながら」の最終区間。デッキで収録。いろいろと煩い(特に到着間際)ですがご了承ください。


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